先日、ソフトバンクに勤務していた社員がソフトバンクの4Gや5G向けの基地局設備、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信ネットワークに関する技術に関する情報(=ソフトバンクにとっての営業秘密)を持ちだして、楽天モバイルに転職し、その情報を楽天モバイルのファイルサーバに保管しちゃってただけでなく、そのことがソフトバンクにバレるって事件が起きたことは記憶に新しい。

その後、営業秘密を持ち出した元社員は不正競争防止法違反の疑いで2021年1月12日に逮捕されている一方、楽天モバイルはソフトバンクの営業秘密を自社の業務に利用していたという事実は確認していないって声明を発表していたものの、やっぱり、ソフトバンクはキレてたみたいで…。

ソフトバンクのプレスリリース「楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起 1,000億円規模の損害賠償請求権を主張」によると、ソフトバンクは、楽天モバイル株式会社と元社員に対して以下のような内容の民事訴訟を提起したようだ。

  • 1,000億円の損害賠償請求権のうちの10億円の支払いを求める
  • 営業秘密を使って建設された基地局の使用差止と廃棄請求
  • 元社員が持ち出したファイルの使用・開示差止請求と廃棄請求

結局は裁判所の判断にはなるものの、ソフトバンクの営業秘密を使って立てた楽天モバイルの基地局を廃棄せよってのがエグい気がする。1000億円の損害賠償請求権を主張しているあたりからして、かなりの数の基地局が廃棄対象に該当するってのがソフトバンクの主張になるんだろう。

中国のテンセントの出資を受け入れて、日本政府を含めて色んな人に目をつけられてまで基地局を増やそうとしていた矢先に(しかも、それを前提に各地のauのローミングを終わらせる予定も発表しちゃった)、既存の基地局の廃棄を要求される訴訟を抱えることになった楽天モバイルと、そんな楽天モバイルに電波を割り当てちゃった総務省は息をしているんだろうか。

しかし、楽天モバイルがソフトバンクの営業秘密を使ったことで1000億円の損害が発生したと主張するソフトバンクと、営業秘密を業務に利用していないことを主張する楽天モバイルの主張の隔たりはかなり大きい気がするが…果たしてどういうオチになるんだろうか。