PHPからメールを簡単に送りたいなぁと思って、phpmailer(使ったバージョンは、リリースされたてのVer.5.0.0)を使ってみた。
ちらっとソースとドキュメントを読んで、サンプルアプリで使ってみていたら、Subjectの処理で少し気になることがあった。端的に言えば、長いSubjectのメールを送ろうとしたときにMIMEエンコードされた文字列が改行されずに1行になってしまい、その文字列を埋め込んだメールヘッダーがRFCに引っかかってしまう恐れがあるという事象に直面した。
で。
Subjectに日本語を入れたりする場合は、SubjectをMIMEエンコードする必要があるので、PHPのmb_encode_mimeheaderって関数でMIMEエンコードした文字列を作って、それをphpmailerに渡して、どーんとメールを送ってみた。
…すると。
MIMEエンコードされた文字列は生成されたものの、MIMEエンコードされた文字列が1行に連結されてしまっていた(汗)(…強制改行されているとは思いますが、実際は1行です。)
Subject: =?ISO-2022-JP?B?GyRCJDMkbCRPJUYlOSVIJWEhPCVrJE4lNSVWJTglJyUvJUgkMyRsGyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJE8lRiU5JUglYSE8JWskTiU1JVYlOCUnJS8lSCQzJGwkTyVGGyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJTklSCVhITwlayROJTUlViU4JSclLyVIJDMkbCRPJUYlOSVIGyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJWEhPCVrJE4lNSVWJTglJyUvJUgkMyRsJE8lRiU5JUglYSE8GyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJWskTiU1JVYlOCUnJS8lSBsoQg==?=
で、メールに関するお約束のRFC2822にこんな規定がある。ヘッダーに限定されているわけではないが、メールの1行に並べていい文字数には制限があるようだ。
http://www.puni.net/~mimori/rfc/rfc2822.txtより引用:
行の長さの制限
この標準では1行中の文字数に2つの制限がある。それぞれの行の文字はCRLFを除いて、決して998文字以下でなければならず(MUST)、78文字以下であるべきである(SHOULD)。
そんなわけで、MIMEエンコードされたSubjectがずらっと1行に並んでしまうと、うっかり998文字を超えてしまうおそれがあるわけで、なんとか78文字くらいで改行するのがよろしいということだろう。
ちなみに、上で使ったのと同じ文字列をBecky!2.50.07の件名の欄に突っ込んで、メールを送ってみたら、やっぱり適度に改行されていた。
Subject: =?ISO-2022-JP?B?GyRCJDMkbCRPJUYlOSVIJWEhPCVrJE4lNRsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJVYlOCUnJS8lSCQzJGwkTyVGJTklSBsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJWEhPCVrJE4lNSVWJTglJyUvJUgkMxsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJGwkTyVGJTklSCVhITwlayROJTUlVhsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJTglJyUvJUgkMyRsJE8lRiU5JUglYRsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCITwlayROJTUlViU4JSclLyVIJDMkbBsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJE8lRiU5JUglYSE8JWskTiU1JVYlOBsoQg==?=
=?ISO-2022-JP?B?GyRCJSclLyVIGyhC?=
ってことは、phpmailerで処理されたsubjectのスペース区切りで繋がっているところが改行になってれば何の問題もなさそうってことか。
PHPのmb_encode_mimeheaderで生成した文字列を出力してみたら、ちゃんと改行が入っていた(汗)ので、犯人はphpmailerさんですか…と(汗)で、phpmailerに渡されたSubjectがどうなっているのか追いかけてみたら、送信するときにCreateHeader()って関数が呼びされていて、その中でSubjectが以下のように加工されていた。
if($this->Mailer != 'mail') {
$result .= $this->HeaderLine('Subject', $this->EncodeHeader($this->SecureHeader($this->Subject)));
}
で、このSecureHeader()ってメソッドは何をやっているのかというと。。。
/**
* Strips newlines to prevent header injection.
* @access public
* @param string $str String
* @return string
*/
public function SecureHeader($str) {
$str = str_replace("\r", '', $str);
$str = str_replace("\n", '', $str);
return trim($str);
}
あ、改行コードを吹っ飛ばしてるじゃん…(汗)このメソッドを回避してみたら、Becky風にほどよく改行された。
でも、これ、Header Injectionを回避するためのサニタイズをやっているようなメソッドっぽい…、このメソッドを呼び出す限りは、RFC2822の998文字越えをやらかしてしまいそうだし、このメソッドを回避してSubjectを作ると、Header Injectionに直面するリスクを抱えるってことだろうか。
でも、基本的にはシステムが生成したメールを送信するだけなので、悪意思ったSubjectってのはやってこないような気もするが…。ま、ちょっとHeader Injectionについて調べてみよう。
追記:
phpmailerにセットする前に改行コードを外す処理を追加しておけば、phpmailerの中でSecureHeader()を呼び出す必要はないんじゃないかって気がしてきた。とはいえ、phpmailerを直してしまうと、バージョンアップの時にややこしいことになりそうだし…。うーむ。