ネットを眺めていたら、「東京都内でも「10万円」申請開始…支給日まちまち、募るいらだち」ってニュースを見かけた。

オンライン申請の内容を二人一組で目視確認

11日時点で約1万件のオンライン申請があった品川区では、職員が連日、2人1組になって、申請内容と住民基本台帳の情報を照合している。不備がないか1件ずつ目視で確認し、振込先の銀行名や口座番号などに間違いがあれば修正。1日の処理は約100件が限度といい、同区の寺嶋清・特別定額給付金担当課長は「オンライン申請は手入力の項目が多く、ミスがあると支給までさらに時間がかかる」と話す。

オンライン申請されたものを、二人一組で目視確認している(おそらくは申請内容を表示している端末を使っている職員が内容を読み上げて、住民基本台帳の情報を表示している端末を見てる職員が確認しているだろう)っていう効率の悪さはなかなか想像を絶するものがある。

でも、自治体の職員もこんな非効率なことをやりたがる訳がないので、端的には2台の端末を使わないと申請内容を確認できないことが背景にありそうだ。背景を調べてみることにした。

マイナポータルからの申請内容はLGWANで参照する

今のところ、特別定額給付金の申請にはオンライン申請と、郵送申請の2つの方法があって、オンライン申請はマイナポータルからマイナンバーカードを使って申請することになっている。

では、マイナポータルから申請された内容は、どういう経路で自治体に届くのだろうかか。マイナポータルのページを見てみると、住民がマイナンバーを利用して自治体に対して申請をインターネット越しに行うためのサービスが「ぴったりサービス」として用意されていて、特別定額給付金の申請はその「ぴったりサービス」を利用して行うようだ。

その「ぴったりサービス」を自治体に提供しているJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のWebサイトには、「ぴったりサービス」の概要を紹介するWebページがあった。利用イメージの図を見る限り、住民の申請内容は、ツールを使って端末から直接参照することもできるし、自治体が用意したサーバでデータを取得して、それをまた別のシステムで利用することもできるようだ。

イメージ図にも小さく書かれているが、自治体が申請データを参照するのはLGWAN経由。まぁ、LGWANはこういった利用目的で構築されたネットワークなので当然と言えば当然ではあるか。

申請内容を確認する対象は情報提供ネットワークシステム

今回の特別定額給付金は住民票の内容を元に給付されることになるので、「ぴったりサービス」から申請された内容が住民票と相違がないことは自治体で確認することになるわけだが、住民票のデータは一昔前の住基ネット、今は情報提供ネッ情報提供ネットワークシステムトワークシステムというシステムで管理されている。

当然のことながら自治体から情報提供ネットワークシステムを参照することはできるのだが、情報セキュリティの観点から自治体には3系統のネットワークが整備されており、そのネットワークは相互にアクセスさせないポリシーになっており、それぞれのネットワーク毎に端末を用意することになっているようだ。

首相官邸のWebサイトに落ちてたPDFの10ページ目に、自治体のネットワーク構成のイメージ図が出ていた。

おそらく、自治体の特別定額給付金の申請内容確認作業では、LGWAN接続系端末を操作する職員が申請内容を端末に表示して内容を読み上げて、情報提供ネットワークシステムにアクセスできる住民情報系端末を操作する職員が確認しているのだろう。

紙による申請であれば、一人の職員が、届いた申請用紙を見ながら情報提供ネットワークシステムにアクセスできる住民情報系端末の表示内容を確認することができるので、オンライン申請の確認作業よりも工数が削減できるといったところだろうか。

では、何が問題なのか

オンライン申請された内容を確認するために2人の職員が2台の端末を使って確認しなきゃいけない状態はうまくいってない状態であるといえるだろう。自治体で申請内容を紙に印刷してしまえば、郵送による申請と同じ状態にはなるから多少は工数を削減できるのかもしれないけれど、そんなアホな…という印象は否めない(それに、LGWAN接続系端末からの印刷にも厳しい制約がかかってそうではある)

現在の自治体のネットワーク構成を前提にすれば、人手を使った確認作業を削減し、システムによる確認処理を実施するしかないのではないか。もちろん、システムによる突合には限界があるので、自治体による確認をゼロにするものではないし、申請内容が間違っていた場合に申請者に連絡する作業というのはいずれにせよ発生はするんだろうけれども。

目下、「ぴったりサービス」はマイナンバーでの認証機能が付いたWebフォームにしかなっていないような印象だが、マイナポータルもLGWANも情報提供ネットワークシステムもJ-LISが運用している訳だし、マイナンバーってそういう時のためのIDじゃなかったっけって気もするし、「ぴったりサービス」のオプション機能として、J-LISが住民票との突合機能を実装するのも不可能ではなさそう気がするんだけど、まぁ、時間はかかりそう。

読売新聞の記事によれば、品川区での二人一組の確認作業は1日で100件が限度で品川区の住民は38万人。全員がオンライン申請をするわけじゃないとはいえ…。それに、オンライン申請がダメだから、郵送による申請に切り替えることできれいに片付く問題でもないし…。

目下、有効そうな手立てもなさそうなのが現実といったところだろうか。